鹿屋体育大学長 松下雅雄

 日本コーチング学会が鹿屋体育大学で開催されますこと、参加者の皆様を全国からここ鹿屋の地にお迎えできること、鹿屋体育大学を代表してお礼を申し上げますとともに、心より歓迎いたします。
本年の8月には2回目の東京オリンピックが開催されます。また、ここ鹿児島でも10月に国民体育大会が開催されます。今年は、スポーツにとって、スポーツ関係者にとりましても、誠に大きな節目の年であるといえます。しかしながら、現在社会において、スポーツ指導やスポーツ組織に関するマイナス的な事案が次から次へと報道されています。本来スポーツの語源から考えますと「スポーツは楽しいものである」と考えるのですが、なぜもこのような暗いニュースが出てくるのでしょうか。
今、本学ではスポーツパフォーマンス研究として、スポーツ活動における実践や経験を言語化し、新たな理論を創出する、経験や勘に基づく知識を客観的に測定分析し、実証するという実践・事例研究に取り組んでいます。また、スポーツコーチのプレイヤー中心の考えに基づいた行動判断力評価テスト(通称:SCCOT)を作成し、実用化に向けて取り組んでいます。
日本コーチング学会におかれましても、各スポーツ種目の技術評価・分析、トレーニング法、技術指導法などの研究を進められていると考えられますが、スポーツ指導者に求められる専門的技術や知識だけでなく、指導哲学や指導者倫理など、もっと日常的な言葉でいえば指導者としてのモラルなどの研究教育を、今よりさらに推進されることも必要ではないかと考えます。ぜひ、コーチング学会でも、全国のコーチへ、これからのコーチに浸透・普及されるような取り組みを検討していただければと心より願っております。
最後になりましたが、大学としまして大会運営に鋭意努めてまいりますが、至らない点もあると思います。参加者皆様の寛容とご協力をお願いし、日本コーチング学会大会が成功裏に無事終了しますことを期待し、挨拶といたします。

日本コーチング学会会長 中川 昭(筑波大学)

この度、鹿屋体育大学において、第31回日本コーチング学会大会 兼 第13回日本体育学会体育方法専門領域研究会を開催させていただくことになりました。鹿屋体育大学の関係者の皆さま方には、年度末のご多忙の時期に本学会大会を引き受けていただき、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

さて、日本コーチング学会は、現在、コーチング学の学体系の構築、とりわけコーチングに関する一般理論の構築を最重要課題として位置づけ、活動を展開しているところです。その中で、一昨年に一般コーチング学の理論書『コーチング学への招待』を発刊し、本年は競技類型別の一般コーチング学の理論書として『球技のコーチング学』を発刊しました。競技類型別の理論書については、この後も「測定スポーツ」と「評定スポーツ」をテーマにして引き続き発刊していく予定にしています。コーチング学の学体系を構築するためには、これまでの個別種目を対象とした理論構築に終始するだけでは限界があり、それに加え、種目横断的な一般理論の構築が必要不可欠です。そして、この課題の解決にこそ本学会固有の役割があると考えています。
今年度、本学会が特に力を注ごうとしているもう1つの課題は、社会への情報発信力を高めることです。スポーツ指導のあり方について大きな変革が求められている昨今の社会情勢の中で、「コーチング」と銘打つ本学会が、学会という立場から積極的に社会へ情報発信し、わが国のスポーツ指導の健全な発展に貢献していくことは、果たすべき重要な任務と考えています。そのためにどのようなことができるのか、特別委員会を編成しながら具体的なアクションを企画し実行に向け準備しているところです。

今回の学会大会では、「コーチングの現場が求める知の創出と活用」がテーマに掲げられています。2020年のオリンピック・イヤーを迎えて、現場からのスポーツ科学への要請が今まで以上に多くなることが予想される中、たいへん時宜を得たテーマであると思います。本学会大会では、会員の皆さまの研究発表と併せて、「コーチングの現場が求める知」について活発な議論が展開されることを大いに期待しています。

令和元年12月吉日

 

日本コーチング学会第31回大会実行委員長 髙橋仁大

 日本コーチング学会第31回大会を鹿屋体育大学で実施する運びとなりました。本学会大会の実施にあたり、各方面に多大なご協力をいただいております。誌上ではありますが、ここに改めて感謝申し上げます。

 今回の学会大会では、テーマを「コーチングの現場が求める知の創出と活用」としました。日本コーチング学会では近年、コーチング学の学体系をまとめる作業を進めています。その流れの中で、2017年に「コーチング学への招待」を、2019年に「球技のコーチング学」をそれぞれ上梓したことは、皆様もご存知の通りです。一方でそれぞれのスポーツ種目に特化した各種目別の学会や、種目にとらわれずにコーチング学とは異なる切り口からスポーツに対峙している学会も存在します。それらの各学会との関係性から、日本コーチング学会の立場を整理すべく、今回のテーマを設定しました。

 このテーマに基づき、学会大会企画として、鹿屋体育大学の山本正嘉先生より「コーチングの現場が求める知の創出と活用を考える」と題しての講演をいただきます。また学会本部企画として、「一般コーチング学の構築に向けて」というテーマで、日本コーチング学会の会長である中川昭先生とコーチング学研究の編集委員長である青山清英先生からそれぞれのお考えを述べていただきます。各企画ではICTディスカッションを通じて、フロアから広く意見を募り、より良い議論ができればと考えていますので、皆様の積極的なご参加を期待しております。

 日本コーチング学会大会が九州で開催されるのは初めてということで、その会場として鹿屋体育大学が選ばれたことは大変光栄なことと感じております。本学は単科大学ということもあり、決して大規模な大学ではありませんが、鹿屋という土地柄ならではのアットホームな雰囲気を感じていただき、参加される皆様方にとって印象に残る学会大会となるよう、努めて参ります。鹿屋の地元の本格焼酎を片手に、コーチング学の未来について、熱く語り合いましょう。